職場では、男女平等が当たり前でも、実際には「あれ?」と思うような男女間の違いがあったりしませんか?
実は、労働基準法には「男女同一賃金の原則」というルールがあり、女性だからといって給料を低くしたり、不利な扱いをするのはNGです。
そこで今回は、男女同一賃金の原則について、わかりやすくご説明します。
男女同一賃金の原則とは
「男女同一賃金の原則」とは、同一の仕事をする男女は同じ賃金を受け取る権利があるという考え方です。
これは、性別を理由に賃金に差をつけることを禁止するもので、平等な労働環境を実現するために重要な原則です。
「女性であることを理由として」の差別的取扱いとは
この原則に違反する具体例として、従業員が女性であることのみを理由に、同一職種に就業する学卒者の初任給を男女で差別することが挙げられます。これにより、女性が同じ仕事をしているにもかかわらず、男性よりも低い賃金を受け取ることは、明らかに違反行為です。
ただし、従業員の職務、能率、技能等によって賃金に個人的差異がある場合は、この原則には違反しません。
つまり、賃金は従業員の能力や業績に基づいて決定されるべきであり、性別による差別は許されません。
こんなケースもNG!
賃金の額そのものについての差別的取扱いだけでなく、賃金体系や賃金形態においても差別は許されません。
例えば、以下のような場合は差別的取扱いとされます。
①職務、能率、技能、年齢、勤続年数等が同一である場合において、男性は月給制、女性はすべて日給制として、男性がその月の労働日数にかかわらず毎月一定であるのに対し、女性はその月の労働日数の多寡によってその月の賃金が男性の一定額と異なる場合は、差別的取扱いとされます。
②男性にのみ住宅手当・家族手当を支給する取扱い。
③一方の性の従業員にはその配偶者の所得が一定額を超える場合でも手当を支給するのに、もう一方の性の従業員にはその配偶者の所得が一定額以下でないと手当を支給しないという取扱いは、ともに差別的取扱いとされます。
差別的取扱いの定義
「差別的取扱い」をするとは、「不利に取扱う場合のみならず有利に取扱う場合も含む」とされます。
つまり、特定の性別を理由に優遇することも禁止されています。
違反した場合の罰則について
男女同一賃金の原則に違反した場合、罰則が適用されます。
具体的には、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があります。
なお、本条違反が成立するのは、現実に差別的取扱いをした場合であって、単に就業規則において差別的取扱いをする趣旨の規定を設けただけでは、その規定が無効になるにとどまり、本条違反とはなりません。
まとめ
「男女同一賃金の原則」は、性別による不当な賃金差別をなくし、公平な職場環境を作るための重要な法律です。
会社としては、この原則を遵守し、すべての従業員に平等な待遇を提供することが求められます。