今回は、企業における社員の通称(旧姓含む)使用についてお話ししたいと思います。
はじめに
近年、多くの企業で導入が進んでいるのが「社員の通称(旧姓含む)使用」制度です。
旧姓を含む通称の使用を認めることで、従業員の働きやすさや企業のダイバーシティ推進に繋がるとして、注目を集めています。
※企業のダイバーシティ推進とは、多様な背景や価値観を持つ人材を活用し、働きやすい環境を整えることです。
通称使用のメリットと課題
【メリット】
◇実績の連続性
結婚や離婚などで姓が変わっても、同じ名前でキャリアを積み重ねられるため、実績の把握や評価が容易になります。
◇プライバシー保護
結婚・離婚などのライフイベントを職場に公表する必要がなくなり、個人のプライバシーを守ることができます。
◇事務手続きの簡素化
メールアドレスや名刺などの変更手続きが不要になり、事務負担を軽減できます。
【課題】
◇戸籍との整合性
戸籍名が必要な場面では、通称と戸籍名の使い分けが必要となり、事務処理が煩雑になる可能性があります。
◇システム対応
社内システムが通称使用に対応していない場合、データ管理や運用に支障が生じる可能性があります。
◇認識の共有
社員一人ひとりが通称使用制度を理解し、正しく運用することが重要です
通称使用に関する調査
さて、ここで興味深い調査結果をご紹介します。
一般社団法人日本経済団体連合会が企業での通称使用について調査を行い、その結果を公表しました。
その要点は以下の通りです。
♢ 通称(ビジネスネーム)の使用
調査対象企業の約90%以上が、役職員(役員を含む社員)に対して通称の使用を認めています。姓だけでなく、名の部分も含めて自由に選ぶことを認めている企業もあります。
また、婚姻・離婚等に関係なく、自由に姓を選ぶことを認めている企業も存在します。
♢ 通称使用に関連する課題
書類や帳票において、通称と戸籍姓の統一ができず、関係する社員の混乱を招くケースがあります。
また、社内システムが通称使用に対応していないため、管理が煩雑になることがあります。
この調査結果から、通称使用が広く認められている現状と、それだけでは解決できない課題が浮かび上がります。
夫婦別姓制度の議論も活発化する中で、誰もが働きやすい社会となるために、企業ができることを考えていく必要があります。
まとめ
通称使用は、多様な働き方が求められる現代社会において、企業が取り組むべき重要な課題の一つです。
制度のメリットを最大限に活かし、課題を克服することで、誰もが働きやすい職場環境を実現していきましょう。