キャリアアップ助成金(正社員化コース)では、「有期・無期の従業員を正社員へ転換すると助成される」制度ですが、この『正社員』として認められるための要件が非常に重要です。今回は、多くの企業が誤解しやすい「賞与・退職金の制度」および「昇給」の要件について解説します。
正社員の定義:2つの制度が必須
- 賞与または退職金の制度(どちらか一方でも可)
- 昇給制度があること
これは、『長期雇用を前提とした待遇が整った人を正社員として扱う』という考え方に基づくものです。
つまり、名ばかり正社員では認められず、「安定した処遇」=賞与・退職金・昇給がそろっている必要があります。これらは必ず就業規則に明記されていることが条件です。
賞与が認められる基準
賞与の名目は必ずしも「賞与」でなくてもかまいません。
認められる例
- 事務職:賞与を年2回支給
- 営業職:歩合手当を3か月に1回支給
※その他の待遇が同等であり、歩合手当の算定方法が賞与と同等と判断できれば「賞与制度」とみなされます。
つまり、『成果に応じて定期的に支給される手当』は、賞与扱いになる場合があります。
退職金が認められる基準
原則として、事業主が掛金を負担する退職金制度で、実際に拠出が行われていることが必要です。
ただし次のようなケースも認められます。
認められる例
- 企業型確定拠出年金(選択型)を「生涯設計手当」として前払いする場合
- 従来型の退職金の考え方と比較して不合理でない制度
制度の形式よりも、「実質として退職金制度と同等かどうか」がポイントです。
昇給が認められる基準
原則は次のとおりです。
- 基本給の昇給があること
- 年1回以上の昇給制度が予定されていること
ただし、以下の制度も認められる場合があります。
認められる例
- 全正社員に支給される手当(資格手当など)が定期的に増額される
- 手当が残業代・賞与・退職金の算定基礎に含まれる
- 制度として不合理でないと判断できる場合
つまり、基本給以外の「昇給」と扱える手当の増額も認められる場合があります。
金額は「通常の正社員として妥当」である必要がある
賞与・退職金・昇給の金額については、企業規模・地域・職種の賃金水準を考慮し、「一般的な正社員の待遇として妥当な額」であることが必要です。
特に、正社員化コースは「キャリアアップ」が前提のため、非正規の処遇改善コース(賞与6万円/半年、退職金1.8万円/月など)より高い水準の制度が求められる点がポイントです。
まとめ
キャリアアップ助成金(正社員化コース)の『正社員』は、次の3つがそろってはじめて認められます。
- 賞与または退職金制度(どちらかでOK)
- 昇給制度
- 就業規則に明記し、実際に正社員へ適用していること
制度の名目よりも、「実質として正社員としての待遇が確保されているか」が判断基準です。
「うちの賞与制度でも対象になりますか?」「歩合給は賞与扱いになる?」「退職金制度を新設したい」など、気になる点があればお気軽にご相談ください。企業の状況に合わせて、確実に受給できる制度づくりをサポートいたします。
