本日は最低賃金の大幅な引上げと、それに伴い厚生労働省が発表した「業務改善助成金」の拡充についてご紹介いたします。中小企業や小規模事業者の皆さまにとって重要な施策となりますのでぜひご確認ください。
最低賃金が全国で1,000円超えへ
令和7年9月5日までに、全都道府県で地方最低賃金審議会の答申が取りまとめられ、初めて全国すべての地域で最低賃金が1,000円を超えることとなりました。全国加重平均は1,121円となり、現在の1,055円から66円の引上げです。これは昭和53年の目安制度導入以来、過去最大の引上げ幅となります。
業務改善助成金とは
業務改善助成金は、生産性向上につながる設備投資や人材育成などとあわせて、事業場内の最低賃金を一定額以上引き上げた場合に、その費用の一部が助成される制度です。
例)機械設備の導入、コンサルティング活用、人材教育・訓練の実施など
拡充内容1:対象範囲の拡大
従来:事業場内最低賃金と地域別最低賃金(改定前)の差額が「50円以内」の事業所が対象
今後:「事業場内最低賃金が、改定後の地域別最低賃金未満」である事業所も対象に拡大
拡充内容2:賃金引上げ計画の事前提出が不要に
従来:申請前に「賃金引上げ計画」の提出が必要
今後:令和7年度の最低賃金改定日前日までに賃上げを実施していれば、事前の計画書提出は不要(条件付き)
今後の対応について
最低賃金の引上げと業務改善助成金の拡充は、「人件費増加への負担軽減」と「賃上げ支援の推進」の二つを同時に支える施策です。申請を検討する事業者の方は、早めの情報収集と必要書類の準備、スケジュール管理を進めておくことが重要です。
まとめ
令和7年の見直しにより、最低賃金は全国一律で1,000円を超える歴史的な改定となります。それに伴い「業務改善助成金」も拡充され、中小企業の賃上げを後押しする仕組みが整いました。人件費の上昇に不安を感じる事業者の方も、助成金をうまく活用することで生産性向上と賃上げを両立させるチャンスとなります。