日本商工会議所・東京商工会議所が公表した「中小企業の働き方改革に関する調査」によると、中小企業の多くは、時間外労働の上限規制におおむね対応できていることが分かりました。
正社員1人当たりの月間平均時間外労働については、「20時間未満」と回答した企業が81.0%となっています。一方で、注意すべき点もあります。過去1年間で、1か月当たりの時間外労働が最も多かった正社員について、「単月45時間以上」と回答した企業は25.9%にのぼっています。つまり、会社全体では残業が少なく見えても、特定の社員、管理職、リーダー層に業務が集中している可能性があります。
特に、次のような企業は注意が必要です。
- 一部の社員だけが毎月遅くまで残っている
- 管理職が現場対応まで抱えている
- 専門業務を特定の社員しか担当できない
- 繁忙期や突発対応をいつも同じ人が処理している
- 36協定の時間管理が個人別にできていない
調査でも、時間外労働の上限規制により事業運営に制約が生じている企業では、「管理職・リーダー層への業務負担の増加や業務の偏在」が63.2%と最も多くなっています。業務が特定の人に偏ると、メンタル不調、退職、引き継ぎ不能、管理職の疲弊、サービス品質の低下につながるおそれがあります。また、時間外労働の上限規制では、原則として月45時間・年360時間が上限です。特別条項付き36協定を締結している場合でも、月45時間を超えられるのは年6か月までです。
事業主様には、次の確認をおすすめします。
- 社員ごとの残業時間を毎月確認しているか
- 特定の社員だけに残業が集中していないか
- 36協定の上限時間を超えるおそれがないか
- 管理職やリーダー層の業務量を把握しているか
- 業務の標準化・分担・多能工化を進めているか
働き方改革は、「残業を減らせば終わり」ではありません。大切なのは、会社全体の業務量を見直し、特定の社員に負担が集中しない仕組みをつくることです。この機会に、自社の労働時間管理、36協定、就業規則、変形労働時間制の運用状況を確認しておきましょう。当法人では、36協定の確認、労働時間管理の見直し、変形労働時間制の導入、就業規則の整備についてもご相談を承っております。
