前回は、就業規則と労働契約の役割と関係性について、わかりやすく解説しました。
今回は、労働契約法12条に基づき、就業規則を下回る労働契約の効力について、ご説明します。
具体的な内容
労働契約法12条では、就業規則と労働契約の関係について、以下のように規定されています。
① 就業規則を下回る労働契約は、その部分については就業規則で定める基準まで引き上げられます。
②「就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約」とは、例えば、就業規則に定められた賃金より低い賃金等、就業規則に定められた基準を下回る労働条件を内容とする労働契約を指します。
上記の通り、就業規則で定められた基準を下回る労働契約は、その部分については無効となります。無効となった部分は、就業規則で定める基準が適用されます。
③ 就業規則で定める基準以上の労働条件を定める労働契約は、これを有効とする趣旨です。
④ 上記の「その部分については無効となります」とは、就業規則で定める基準に達しない部分のみを無効とする趣旨であって、労働契約中のその他の部分は有効です。(労働契約そのものが無効となるわけではありません。)
⑤ 上記の「無効となった部分は、就業規則で定める基準が適用されます」とは、労働契約の無効となった部分については、就業規則の規定に従い、従業員と使用者との間の権利義務関係が定まるものであるということです。
まとめ
前回に引き続き、就業規則と労働契約の関係について、ご紹介しました。
法律の条文を理解し、正しく適用することは、信頼できる職場環境を保つ上で不可欠です。
第12条は、従業員保護の観点からも、事業運営の観点からも、非常に重要な位置を占めています。
今後も、このような法律のポイントを押さえ、適切な労働環境の整備に努めていきましょう。