厚生労働省が令和7年6月11日に発表した調査結果によると、2024年度における障害年金の新規請求に対する不支給割合が13.0%となり、前年度より4.6ポイントも上昇しました。これは近年で最も高い数値であり、制度の運用状況に大きな注目が集まっています。
精神障害の不支給率が特に高い
12.1%(前年度比+5.7ポイント)と著しく上昇しており、審査基準の厳格化や認定実務の運用に変化がある可能性が指摘されています。
厚労省は点検・再審へ
こうした状況を受けて、厚労省は昨年度以降の不支給案件を再点検する方針を発表しました。必要に応じて支給漏れへの対応や再度の支給決定を行うとしています。
課題として浮上した3つの視点
今回の調査からは、次のような課題が明らかになりました。
- 精神障害の特性に対する理解不足と評価基準の曖昧さ
- 医師の診断書と実態とのズレ
- 申請者への情報提供・支援の不足
求められる今後の対応
今後は、以下のような改善が必要とされています。
- 認定基準運用の透明性向上と見直し
- 精神疾患に特有の制限を反映した評価体制の整備
- 申請希望者への相談支援体制の拡充
- 不服申立て制度の活用促進と分かりやすいガイドラインの整備
まとめ
障害年金は、生活に困難を抱える方々にとって大切な社会的支えです。特に精神障害の場合は、外見から判断が難しく、支援の手が届きにくい現実もあります。不適切な不支給が生活の安定を損なうことのないよう、審査の在り方と支援の手厚さの両立が求められています。今後の制度運用と現場支援の動向に注目が集まります。