厚生労働省は、スタートアップ企業における労働基準法の適用について、新たな解釈を通達しました。取締役や役員など、通常は労働者に該当しないとされる役職者についても、勤務場所や時間の拘束性、報酬の労務対償性といった要素を個別に検討し、総合的に判断する姿勢が示されました。
裁判例を踏まえた留意点
取締役が労基法上の労働者と判断された裁判例も存在することが指摘されました。これには、役員就任の経緯や業務内容、報酬の性質や金額といった実態が重要視されています。このような観点を踏まえ、企業側は役員の位置づけや待遇について改めて確認する必要があります。
管理監督者の判断基準
また、管理監督者の判断についても、実態に基づき総合的に評価することが求められています。例えば、役員兼務者や直属組織の長、全社的プロジェクトのリーダーなどが地位にふさわしい待遇を受けており、一般労働者に比べて優遇措置が講じられている場合には、管理監督者と認められるケースもあります。
まとめ
今回の通達は、スタートアップ企業の特殊な労働環境に対応した柔軟な解釈を提示しています。企業は、役員や管理監督者の位置づけを実態に即して見直し、必要に応じて労働条件や待遇を調整することが求められます。この解釈を踏まえた適切な対応が、労務トラブルの未然防止につながるでしょう。