近年、職場でのパワハラが社会問題として注目されています。パワハラは、被害者だけでなく、組織全体の生産性低下にもつながる深刻な問題です。
パワハラを防ぐには、職場全体で信頼と尊重に基づく良好なコミュニケーションを築くことが必要不可欠です。そこで今回は、特に重要な「コミュニケーション」の観点からお話しさせていただきます。
「指示命令型」から「対話型」へ
皆様の職場では、上司と部下のコミュニケーションは円滑に行われているでしょうか?
かつての日本企業では、上司からの一方的な指示で業務が進められることが一般的でした。しかし、この「指示命令型」のマネジメントでは、現代の職場環境においては仕事が円滑に進まなくなっています。
特に多様な働き方が求められる時代では、職場のリーダーは部下を指揮する一方で、部下から必要な情報が適切に上がってくるように仕組みを整え、効果的なコントロール(指揮・統制)を行う必要が重要となってきます。
双方向コミュニケーションのポイント
効果的なコミュニケーションの取り方として、以下の取り組みが挙げられます。
- 定期的な1on1ミーティング
月1回程度の個別面談を設定し、業務の進捗だけでなく、困りごとも気軽に相談できる環境づくり - 「オープンドアの姿勢」を示す
業務時間中に気軽に話を聞ける雰囲気づくり等の、上司自身からの積極的な声かけ - 質問型マネジメントの導入
部下の思考力や主体性を引き出すために、初めから答えを教えるのではなく、質問を投げかけ、対話を通じて考えを引き出す
デジタルとアナログのバランス
近年では、社内SNSやチャットツールなど、デジタル技術を活用したコミュニケーション手段が発達してきました。しかし、これだけに頼るのは危険です。電話や対面といった直接的でアナログなコミュニケーションの重要性も見直されています。直接会話することで、言葉のニュアンスや表情、態度など、デジタルでは伝わりにくい情報をキャッチでき、誤解を減らすことができます。
パワハラ防止の鍵
パワハラ防止の鍵は、コミュニケーションの強化にあると言っても過言ではありません。それを実現するには、管理職と一般社員それぞれへの適切な研修が重要です。
一般社員向け
自分の考えや気持ちを適切に伝えるスキルや、上司への相談の仕方などを学ぶ場が役立ちます。
管理者向け
パワハラの具体的な事例や予防策、質問型マネジメントの実践方法などを中心とした内容が有効です。
まとめ
職場全体でコミュニケーションの質を向上させることが、パワハラの発生を防ぐ最も重要な基盤となります。パワハラ防止の第一歩として、今日からできることを考えていきましょう。