働き手の高齢化が急速に進んでいます。総務省が敬老の日に公表したデータによると、65歳以上の就業者数が20年連続で増加し、過去最多の914万人を記録しました。就業者の7人に1人が65歳以上となっている現状は、企業にとっても人材活用の在り方を見直す重要な転換期です。
注目の数値で見る高齢者雇用の現状
就業率の推移
- 65歳以上全体における就業率:25.2%(10年前比+5.1ポイント)
65歳以上全体でみれば、4人に1人が就業している結果です。
次は年代ごとに絞って就業率をみてきましょう。
- 65~69歳:52.0%
半数以上が就業しており、特にこの年代の意欲が高いことがうかがえます。 - 70~74歳:34.0%
3人に1人が就業しています。70代前半の活躍も顕著です。 - 75歳以上:11.4%
後期高齢者の就業も着実に増加傾向にあります。
65~74歳の就業率上昇が示すように、この年齢層の就業意欲の高まりがシニア人材の戦力化において重要なポイントとなっています。
先進企業に学ぶ高齢者活用のポイント
厚生労働省が公表した「高齢者の活躍に取り組む企業の事例」から、効果的な取り組みをご紹介します。
制度面での工夫
- 年齢に応じた一律の処遇引き下げを廃止
職務や成果に応じた報酬体系をつくることが鍵となります。 - 役職定年制度の廃止、または柔軟な運用
能力や意欲に応じた活躍を実現させます。 - 定年制度の段階的な見直し
65歳以降の継続雇用や定年延長がスムーズに行われると、シニア世代が会社に残りやすくなります。
具体的な取り組み例
- 欧米型をアレンジしたジョブ型人事制度を導入
専門知識のある高齢従業員に活躍の場を与える制度であり、企業もその知識の恩恵を受けることができます。 - 定年後再雇用における所定労働日数の選択肢や、業務委託契約といった柔軟な働き方を整備
高齢従業員の体力個人差に配慮し、無理なく働ける環境づくりを行っています。 - 嘱託再雇用制度を運用
現役同等の働き方を用意しています。
企業に求められる対応
企業は今後も高齢者雇用の重要性が高まることを見据え、年齢構成の将来予測や技能継承計画、高齢者が働きやすい環境の整備、処遇制度の見直しを早期に検討していきましょう。シニア人材の活用は、人手不足対策だけでなく、企業の競争力維持・向上にも不可欠な要素となっています。