近年、長時間労働による健康被害や過労死が社会問題となっています。
今回は、多くの企業や従業員の方々にとって重要な課題である「過重労働解消」について、お話しさせていただきます。
はじめに
厚生労働省は、長時間労働の問題解決に向けた取り組みを強化しています。特に、月80時間以上の時間外労働や休日労働を行っていると見られる事業場、また過重労働が原因で過労死などの労災請求があった事業場には、厳しい監督指導が行われています。
長時間労働は、働く人々の健康に重大な影響を与える問題です。以下に、長時間労働の問題解決に向けた厚生労働省の取り組みをご紹介していきます。
力を入れている長時間労働対策
過重労働解消キャンペーン
毎年11月に、「過重労働解消キャンペーン」が全国で実施されています。この期間中、長時間労働の抑制や過重労働による健康障害の防止、そして適正な労働時間管理を目指した監督指導や、全国一斉の無料電話相談などが行われます。
働き手の健康を守るための取り組みとして、多くの企業がこの機会に労働環境の改善を進めています。
過労死等防止対策推進法の施行
また、過労死の予防に関する取り組みも強化されています。「過労死等防止対策推進法」(平成26年法律第100号)と、これに基づく「過労死等の防止のための対策に関する大綱」(2021年7月30日閣議決定)により、企業と社会全体での意識改革が進められています。
特に11月には、「過労死等防止対策推進シンポジウム」を開催し、ポスターや各種媒体を活用した啓発活動を積極的に行っています。
労働時間の設定改善に向けた自主的な取り組み
厚生労働省は、長時間労働の抑制に加え、年次有給休暇の取得促進や勤務間インターバル制度の導入も推進しています。労働者の健康とワーク・ライフ・バランスを守るため、労働時間の設定を見直すことが求められています。
具体的な支援策として、以下の取り組みを行っています。
- 各企業に対し、「労働時間等見直しガイドライン」の周知と啓発
- 労働時間を削減しながら生産性向上に取り組む中小企業に対する「働き方改革推進支援助成金」の支給
- 「働き方・休み方改善コンサルタント」による企業への支援
- 「働き方・休み方改善ポータルサイト」を通じた情報発信
- 10月の年次有給休暇取得促進期間や、夏季、年末年始、ゴールデンウィークに集中した周知・啓発
- 業種別の勤務間インターバル制度導入マニュアルや動画の作成・周知、シンポジウムの開催
これらの施策により、過重労働の問題を解消し、従業員が健康に働き続けられる環境づくりを目指しています。
まとめ
過重労働の解消は、一朝一夕には実現できません。しかし、一歩一歩着実に取り組むことで、必ず成果は表れます。従業員が健康で活き活きと働ける職場づくりは、企業の生産性向上にもつながります。
皆様の会社でも、ぜひこれらの取り組みを参考に、過重労働解消に向けた対策を進めていただければと思います。