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【職場環境や企業の健全な経営に直結する課題】カスタマーハラスメントについて

最近、カスタマーハラスメント(カスハラ)が企業に与える影響について注目が集まっています。

東京商工リサーチが8月上旬に行った調査結果(5,748社の企業が回答)をもとに、カスハラの現状と企業の取り組みについてご紹介します。

カスハラの被害経験

調査によると、「直近1年間でカスタマーハラスメントを受けたことがある」と回答した企業は19.1%(1,103社)にのぼりました。企業規模別では、資本金1億円以上の26.1%(567社中148社)がカスハラを経験しており、中小企業では18.4%(5,181社中955社)となっています。特に取引先や顧客の数が多い大企業がカスハラを受ける頻度が高いことが伺えます。また、職種別では、宿泊業が72.0%(25社中18社)と最も多く、次いで飲食業、道路旅客運送業(タクシー・バス)、サービス業、小売業が上位を占めています。これらの業種は、顧客対応が多い分、カスハラのリスクが高い業界といえるでしょう。

カスハラの内容と影響

「カスタマーハラスメントの内容」についての質問では、「口調が攻撃的・威圧的だった」が最も多く、全体の73.1%(1,047社中766社)が該当しました。また、「長時間にわたって対応を強いられた」、「大声を上げられた」、「一方的に話し続けられた」、「過度な謝罪要求」なども頻繁に見られるカスハラの特徴です。さらに、カスハラの影響は大きく、回答した企業の13.5%(1,040社中141社)では、従業員がカスハラを原因として休職や退職に至ったケースがあることも報告されています。カスハラが従業員の精神的負担を増やし、離職につながる深刻な問題であることが改めて浮き彫りになりました。

カスハラ対策の現状と今後

調査では、71.5%の企業(5,651社中4,041社)が「特に対策を講じていない」と回答しています。一方で、対策を講じている企業では、「従業員向け研修の実施」、「相談窓口の設置」、「対応方針の策定」などの取り組みが行われています。しかし、まだ多くの企業が対策を十分に講じていない現状があり、今後、対策の強化が求められています。実際に、政府は企業に対するカスハラ対策の義務化を検討しており、労働施策総合推進法の改正案を来年の通常国会に提出する予定です。この改正により、企業は従業員が安心して働ける環境づくりに向け、カスハラ対策を一層強化する必要があります。

まとめ

カスタマーハラスメントは、単なる顧客対応の問題にとどまらず、従業員の労働環境や企業全体の健全な経営に直結する課題です。企業が積極的にカスハラ対策に取り組むことが、従業員の安全と働きやすさを確保するために重要です。