今回は、「厚生年金の保険料は会社が全額負担することはできるのか」についてご説明いたします。
はじめに
厚生年金保険とは、会社員や公務員などの被用者とその家族を対象とした社会保険制度の一つです。
老後の生活を保障するために重要な役割を果たしており、私たちの生活に欠かせないものとなっています。
社会保険料の負担方法は
- 「労使折半(従業員と会社で半額ずつの負担)」
- 「会社が全額負担」
- 「会社が労働者より多めに負担」
の3パターンに分かれます。
ちなみに、健康保険、厚生年金保険、介護保険の保険料は労使折半、労災保険料は全額会社負担、雇用保険料は会社が労働者より多めに負担します。
今回は、労使折半の厚生年金険料について紹介します。
厚生年金険料を全額会社負担にしない理由
厚生年金険料を会社と従業員で半分ずつ負担するのはなぜでしょうか。それは以下4つの理由が存在するからです。
♢法律で決まっている
厚生年金保険法の第八十二条に、「被保険者及び被保険者を使用する事業主は、それぞれ保険料の半額を負担する。」という記載があるためです。
♢税務上の問題
全額会社負担とする場合、それは事実上の賃金の一部と見なされます。つまり、給与として課税対象になる可能性があるため、折半が望ましいといえます。
♢従業員の意識低下を防ぐため
全額会社負担の場合、社員の厚生年金保険料に対する意識が希薄になる懸念があります。
社会保険制度への理解や関心が薄れることで、将来の年金受給についての意識も低下してしまう恐れがあります。
♢コスト削減のため
会社側にとっても全額負担は大きな金銭的負担となります。
特に中小企業では、経営を圧迫する要因となる可能性が高く、経営の安定性に影響を及ぼすことも考えられます。
保険料を折半することで、法を守り、税務上の影響を最小限に抑えつつ、従業員の社会保障制度に対する理解と意識を高めることができます。
まとめ
厚生年金は、私たちが安心して暮らせる社会を支えるための重要な制度です。会社と従業員が協力して、この制度に貢献していきましょう。