今回は、健康保険組合の財政状況についてご説明いたします。
はじめに
健康保険組合とは、常時700人以上の従業員がいる企業が加入する組合で、中小企業における「協会けんぽ」と似た役割を果たしています。
しかし、その財政状況が厳しくなっていることが問題となっています。中小企業にどのような影響があるのか、詳しく見ていきます。
8割の健保組合が赤字!?
健康保険組合連合会の発表によると、全国に約1400ある健康保険組合のうち、78%が赤字を見込んでいます。元々、高齢化による支出の増加が予測されていましたが、新型コロナウイルスの影響でその支出がさらに前倒しになっています。
組合解散の目安とされる保険料率は10%と言われていますが、現在の財政を均衡させるためには10.06%の保険料率が必要と見込まれています。この状況は、全国的に健康保険組合の財政が厳しいことを示しています。
健康保険組合が実際に倒産した事例
赤字を補うためには、保険料率を引き上げる必要があります。しかし、保険料率を上げることで、加入者にとって健康保険組合に加入するメリットが薄れるため、加入者が減少する可能性があります。
実際に、2021年1月には、大阪既制服健康保険組合がコロナ禍の影響で倒産しました。
これは、コロナ禍で初めて倒産した健康保険組合であり、今後も同様のケースが増える可能性があります。
中小企業への影響は?
中小企業のほとんどは、協会けんぽに加入しているかと思います。健康保険組合から協会けんぽへの移行者が増え続けると、基本的に協会けんぽの収入が増加します。
しかし、高齢化による医療負担の増加や新型コロナウイルスの影響により、協会けんぽも厳しい財政状況にあります。
協会けんぽの保険料に影響が出る可能性もあるため、今後の動きには注視が必要です。
特に保険料額の増減に関する情報は、企業の経営に直接影響を与えるため、定期的に最新の情報をチェックすることが重要です。
まとめ
健康保険組合の財政状況は、企業や従業員にとって非常に重要な問題です。
現在、多くの健康保険組合が厳しい財政状況に直面しており、保険料率の引き上げや組合の倒産が現実味を帯びています。
また、協会けんぽへの移行が増加する中で、協会けんぽの財政状況にも注意が必要となってくるでしょう。