働き方改革や人材確保の流れが加速する中で、「週4日勤務制」という新しい選択肢が世界的に注目を集めています。今日は、最新の研究結果や海外事例をもとに、経営戦略としての可能性についてお伝えします。
週4日勤務制でウェルビーイングが改善
7月21日、オンラインジャーナル誌 Nature Human Behaviour にて、週4日勤務制が従業員のウェルビーイングや定着率を大きく改善するという研究結果が発表されました。研究の詳細は以下の通りです。
- 調査対象:6か国、141組織(2,896人)
- 実施内容:給与を維持したまま6か月間の週4日勤務制を試行
- 平均労働時間:週5時間削減
研究の結果、週4日勤務制を導入した従業員では、燃え尽き症候群の軽減や健康状態の改善、さらに職務満足度の向上が確認されました。特に、労働時間を週8時間削減できた従業員においては、最も顕著な改善効果が見られています。これにより、従業員の健康や働きがいの向上が、組織全体のパフォーマンス改善へとつながる可能性が示されました。
イギリスでは離職率・病欠率が50%減
2022年にイギリスで実施された「4 Day Week Foundation」主導のパイロットプログラムでは、退職率や病欠率が50%以上減少するという大きな効果が確認されました。さらに、収益も平均で1.4%増加しており、働き方の柔軟化が経営面にも好影響をもたらしています。すでに200を超える組織がこの制度の導入に参加しており、採用市場においては「働きやすい会社」としての強力なアピールにつながっています。
柔軟な働き方が採用力を左右
労働力人口が減少する中、優秀な人材を確保するには働き方そのものを戦略とする視点が欠かせません。競合が先に制度を導入すれば人材流出やブランド力低下のリスクがありますが、自社が先行すれば採用力の強化や離職率低下、パフォーマンス改善といった成果が期待できます。まさに経営者にとって「導入するか否か」が大きな分岐点となっています。
まとめ
週4日勤務制はもはや「大胆な労務施策」ではなく、経営戦略の一環として世界で浸透しつつあります。人材確保で競合に勝つためには、柔軟な働き方制度をどう設計するかが鍵となります。