今回は、企業経営と労務管理に深く関わる、最新の統計データについてお伝えします。労働者健康安全機構の速報によると、令和6年度の未払い賃金の立替払い総額は110億4,600万円となりました。100億円超は平成26年度以来、実に10年ぶりの高水準です。なお、立替払い制度とは、企業が倒産などにより従業員へ賃金を支払えなくなった場合に、政府が一定範囲で立て替える制度のことです。
対象企業と労働者も大幅増加
対象となった企業は2,623社(前年比約24%増)、労働者は30,591人(前年比約25%増)。倒産や事業停止の増加傾向が影響していると考えられます。
厚労省も緊急対応
厚生労働省は当初予算で98億円を計上していましたが、企業倒産の増加を受け、補正予算で24億円を追加。企業の資金繰り環境が依然として厳しいことを示唆しています。
経営者が今、考えるべきこととは
未払い賃金は信用失墜・労務トラブルの引き金になります。中小企業ほど影響は深刻で、以下の点の見直しが急務です。
- 賃金支払い能力と資金繰り計画の再確認
- 緊急時の支払い対応ルールの整備
- 就業規則や賃金規程の点検
まとめ
未払い賃金の増加は、決して他人事ではありません。経営者として「万が一」に備えた体制を整えておくことが、従業員の安心と会社の信頼を守る第一歩です。今こそ、自社の労務管理と資金計画を見直すタイミングかもしれません。