職場ハラスメントについて、経営者の皆様に特にご注意いただきたい点をお伝えします。
12月は「ハラスメント撲滅月間」
厚生労働省は12月を「職場のハラスメント撲滅月間」と位置付けています。この機会に、改めて自社のハラスメント対策を見直してみませんか。
ハラスメントとは一言で言えば、相手を不快にさせる嫌がらせ行為です。しかし、その影響は個人間の問題に留まりません。
企業にとって職場でのハラスメントは想像以上に大きなリスクとなります。職場の雰囲気が悪化し優秀な人材が退職してしまう、企業の評判が傷つき採用活動にも支障が出るなど、経営に深刻な打撃を与える可能性があります。
特に注目すべきは、2022年4月からすべての企業でパワハラ防止措置が義務化されたことです。
職場のパワーハラスメントとは
パワーハラスメント(パワハラ)は3つの要素で判断されます。
- 優越的な関係を背景とした言動であること
- 業務上必要な範囲を超えた行為であること
- 従業員の就業環境を害すること
これらが揃った時点でパワハラと認定されます。近年、パワハラに関する相談件数は増加傾向にあり、警戒を強める必要があります。
職場のセクシュアルハラスメントとは
セクシュアルハラスメント(セクハラ)の定義は「職場における従業員の意に反する性的な言動」で、これにより不利益を被ったり、就業環境が損なわれたりする事を指します。
重要なのは、「職場」の範囲が広いことです。出張先や業務の延長線上にある宴会なども含まれます。また、「従業員」には契約社員やパートタイム従業員など、すべての従業員が対象となります。
妊娠・出産に関連するマタニティハラスメントも重要な問題となっています。妊娠中の従業員への心無い言動や、出産後の職場復帰に対する配慮不足なども、マタハラに該当する可能性があります。
また、就活生や教育実習生に対するハラスメントなど、対応すべき範囲は確実に広がっています。
対策として、まずは明確な社内規程の整備と周知が重要です。相談窓口の設置や定期的な研修の実施も効果的です。特に管理職への教育は欠かせません。管理職がハラスメントの加害者となるケースも少なくないからです。
まとめ
経営者の皆様には、これらのハラスメント対策を「コストではなく投資」として捉えていただきたいと思っています。適切な防止措置と体制の整備は、企業の持続的な成長と健全な職場環境の構築に繋がります。今一度、ハラスメント対策を見直す良い機会としていただければ幸いです。