今回は、厚生労働省が中小企業庁および公正取引委員会と協力し、11月を「しわ寄せ」防止キャンペーン月間としたことについてご紹介します。
はじめに
近年、働き方改革が推進され、大企業・親事業者の労働時間が短縮される一方で、下請けの中小企業に「しわ寄せ」が生じているケースが増えています。
例えば、大企業・親事業者による長時間労働の削減等の取組みが、下請等中小事業者に対する適正なコスト負担を伴わない短納期発注や、急な仕様変更、人員派遣の要請および附帯作業の増加などを引き起こしてしまうのです。これにより下請けの中小企業は、長時間労働を強いられたり、コストが増加したりといった悪影響を被るケースが多々あります。
「しわ寄せ」防止キャンペーン月間とは
このキャンペーンは、中小企業が働き方改革をスムーズに進められるよう、親事業・大企業による下請事業者に対する「しわ寄せ」を防止することを目的としています。
平成30年12月に改正された「下請中小企業振興法」では、親事業者に対し、取引に起因して下請事業者が労働基準関連法令に違反しないよう配慮することが求められました。やむを得ず短納期や追加の発注を行う場合には、下請事業者の負担が増えたコストを適切に負担することも義務となっています。
また、働き方改革関連法により改正された「労働時間等の設定の改善に関する特別措置法」でも、長時間労働につながる短納期発注や頻繁な仕様変更を行わないよう、親事業者は配慮する努力義務が課されています。
「しわ寄せ」に悩んだら、「下請かけこみ寺」へ!
上記のような「しわ寄せ」防止に向け、厚生労働省・中小企業庁・公正取引委員会は「大企業・親事業者の働き方改革に伴う下請等中小事業者への『しわ寄せ』防止のための総合対策」を立案しました。
この対策の一環として設けられているのが、「下請かけこみ寺」です。ここでは、中小企業が抱える取引上のトラブルやコスト増加への対応について、専門の相談員や弁護士がサポートし、下請事業者と親事業者の間で信頼関係を崩さない価格交渉が行えるよう支援しています。
【下請かけこみ寺 無料相談HP】
https://www.zenkyo.or.jp/kakekomi/soudan.htm
まとめ
働き方改革による「しわ寄せ」で苦しんでいる経営者の方は、無理に我慢する必要はありません。上記で述べた制度を活用することで、中小企業も無理のない働き方改革を進め、健全な経営を続けられる環境づくりを進めていきましょう。