2025年度、厚生労働省が賃上げを支援する助成金を大幅拡充します。設備投資・人材育成による生産性向上、正規・非正規間の格差是正など、経営者の皆様にとって見逃せない制度改正をご紹介します。
3つの主要助成金と支給額のポイント
1.人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース)
雇用管理制度助成コースは、賃金規程や諸手当、制度や人事評価制度、職場活性化制度といった雇用管理改善につながる制度を導入し、離職率を低下させた事業主に支給されるものです。現在は支給を休止していますが、来年度から受付を再開します。
支給額のポイント
賃金規程・諸手当導入:40万円
人事評価制度導入:40万円
その他制度導入:20万円
※合計上限:80万円
ただし、賃上げ率5%達成で各支給額25%上乗せされるので、増額を狙えるチャンスです。
2.働き方改革推進支援助成金
働き方改革推進支援助成金は、労働時間削減などの環境整備を目的に、外部専門家のコンサルティングや労働能率の向上に資する設備・機器の導入を実施し、成果を挙げた中小企業に支給されます。
支給額のポイント
現行制度では、賃金を3%以上引き上げた場合、その従業員数に応じた加算措置があり、賃上げ率5%以上の引き上げには原則として最大240万円が加算されています。来年度はさらに「賃上げ率7%以上」の区分が新設され、最大360万円の加算がされることになりました。
3.キャリアアップ助成金
非正規労働者の処遇改善を支援するキャリアアップ助成金には、様々なコースがあります。そのうち、賃金規定等改定コースは、有期雇用労働者等の基本給を定める賃金規定等を3%以上増額改定し、その規定を適用した事業主に対して、助成金支給を行う制度です。
支給額のポイント
賃上げ率6%以上を実施すると支給額がアップします。また、昇給制度を新たに設けた企業には、1事業所あたり20万円(大企業:15万円)の加算措置がとられます。
経営者の方が今後すべきこと
助成金は、返済不要・使用用途自由のため、支給されれば会社経営の大きな助けとなります。ただ、助成金は支給要件や申請手続きが複雑です。社会保険労務士へ相談し、早めの準備を行っていきましょう。それぞれ企業の経営戦略に合わせた最適な助成金活用で、人材確保と業績向上の両立を目指すことができます。
※助成金の制度の詳細は変更される可能性があります。最新情報は厚生労働省のホームページでご確認ください。