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【社会保険料の支払いが数千万円に上ることも】年金事務所の調査について

今回は、年金事務所の調査についてお伝えいたします。

昨今、公的年金の財政状況についての懸念が高まっています。このため、政府はパートタイマーの厚生年金加入拡大や高所得者の年金減額といったプランに踏み切っています。こうした動きの中で、年金事務所による会社への加入状況調査が入るケースをご存知でしょうか?

年金事務所の調査とは?

年金事務所からの調査は、賃金台帳や出勤簿(タイムカード)をもとに、従業員が適切に社会保険に加入しているかを確認するものです。加入漏れや保険料の誤りが見つかった場合、直ちに適正な加入を指導されます。

社会保険料には、厚生年金だけでなく、健康保険の保険料も含まれます。加入漏れや保険料の誤りが見つかった場合、従業員数や給与額によっては、支払い額が数千万円に上ることもあり得ます。

また、めったにありませんが、会計検査院による調査では、過去2年分の未納保険料を支払うように指導されることもあります。社会保険料の支払いが原因で経営破綻するケースもあり得るため、注意が必要です。

社会保険料について

社会保険は、役員や週30時間以上働く70歳未満の従業員が加入対象です。(週20時間以上勤務しているパートタイマーの場合、月額賃金が8.8万円以上であり勤務期間が2か月以上であるなど、いくつかの条件を満たすと社会保険の加入対象になります)

従業員がパートタイマーであることや高齢であることを理由に社会保険に加入していなかった場合、年金事務所の調査後に強制加入となり、会社と従業員の給与から保険料が天引きされるため、結果として従業員の手取りは減ってしまいます。

また、202410月より、短時間労働者に対する社会保険の適用範囲が広がります。これまでは「従業員数101人以上の企業」でしたが、今後は「従業員数51人以上の企業」で働く短時間労働者が要件をすべて満たしている場合、新たに社会保険の適用が義務化されることになります。この点にも注意しておきましょう。

個人事業主・社長1人の法人の場合

個人事業主の場合は、従業員数が5人未満なら社会保険に加入する必要はありませんが、法人化すると加入が義務付けられます。

また、法人は、社長1人であっても社会保険への加入が必要です。労災や雇用保険と違い、法人の場合は従業員がいなくても社長は社会保険に加入しなければなりません。

まとめ

社会保険の加入漏れがないよう、定期的な確認をお勧めします。

年金事務所の調査は、一見すると厳しいものに感じられるかもしれませんが、社会保険の適正な加入を促し、従業員を守るためのものです。この機会に、ぜひご自身の会社の加入状況を再確認いただき、必要な対応を行っていただければと思います。